独裁政権のメリット・デメリット
日本に住んでいると民主主義が普通で、自由なのが普通で、社会保障が充実しているのが当たり前に感じてしまいます。
しかし、実際は独裁国家もたくさんあり、自由は当たり前ではなく、社会保障がほぼないような国はたくさんあります。
今回は東南アジアの歴史から独裁政権のメリット・デメリットを考えてみたいと思います。参考文献: 「池上彰の世界の見方 東南アジア ASEANの国々」池上彰(小学館)
タイ(独裁政権のメリット・デメリット①)
タイは独特な政権交代をおこなっています。軍事クーデター→国王の承認→軍事政権→民政移管という流れになっています。
タイのプミポン国王は非常に人格者で、政治に干渉しなかった為にこういった独特な政権交代でも、特に問題はありませんでした。しかし、次の「タトゥーの新王」と呼ばれワチラーロンコーンは憲法改正を行い、国王の権力を強化しようとしています。
タイには不敬罪というものが存在し、国王を批判する事も出来ません。このように、独裁の場合、権力者の気質によって、国の命運が左右されてしまう傾向にあります。
なので、プラスとマイナスの振れ幅が大きく、ハイリスク・ハイリターンといえるかもしれません。
フィリピン(独裁政権のメリット・デメリット②)
独裁といえば共産主義のイメージがありますが、実際は資本主義で独裁の国も存在します。フィリピンのマルコス大統領は冷戦下のアメリカを巧みに利用して、独裁を行っていました。
国民の生活が苦しい中も、マルコス夫妻は私腹を肥やしているという典型的な独裁のダメなパターンでした。タイでは大土地所有制によって、貧富の差が激しくなっています。
貧しい人達が集まってスラムを形成し、麻薬が蔓延してしまっています。そこで、「フィリピン」のトランプと呼ばれるドゥテルテ大統領は麻薬撲滅の為に、怪しい人を殺すように指示します。
結果として、麻薬犯罪は減少したようですが、麻薬犯罪のリーダーのような人を排除するよう事はまれで、実際は生活に困窮して麻薬に手を出した人々が殺されているケースが多いようです。
本質的に解決しようと思ったら、国の成長と分配による格差是正が必要となってきます。ドゥテルテ大統領の場合、麻薬撲滅が政治のパフォーマンスなのではないかとも考えられます。
カンボジア(独裁政権のメリット・デメリット③)
カンボジアはベトナム戦争がとびひして、親米派と国王派で争うようになりました。国王派が勝ったものの、国王派に所属していたポルポトが国王を幽閉してしまいました。
ポルポトはフランス留学中に共産主義に目覚めて、毛沢東を崇拝していました。なので、毛沢東と同じような行動を行います。
知識人を農村へおいやったり、知識人を虐殺しました。文明を否定し、国民全員に農業を強いました。
このように、極端な政策や虐殺が起こってしまうリスクも孕んでいるところがおそろしいところです。
日本のような民主主義や自由、社会保障が存在する環境は当たり前ではなく、色々な人の努力で守られています。
日本国内だけに目を向けていると価値観が偏ってしまうので、世界に目を向ける事が重要だと考えています。